かつて
中川正子は目の前に存在した美しさを写していた

「新世界」の扉を開けた彼女は
目の前ではないところに存在する無数の美しさを知った
自分の背後に...
被写体の背後に...
踏みつけた足跡の下に...
ただ繰り返すだけの水の流れに...
昨日まではただ通り過ぎるだけだった帰り道に...

レンズを向けると ファインダーの中には「空〜kuu」が映っていた

「新世界」で中川正子はカメラマンから芸術家へと羽化した

──宮沢和史(THE BOOM)

醜い恐いもの

生きていくことって
幸せなことばかりじゃないから

正子ちゃんが撮る写真は
そういうものも
ぐるぐると包括してるから
わたしは安心できるんだと思う


でも 眩しい世界を見詰めて
浮かび上がるものは やっぱり
きれいで優しいものがいいな


そういう心意気というか
覚悟みたいな でっかい強さが
正子ちゃんの写真からは透けて見える
だから わたしは
正子ちゃんの写真が好き

──ともさかりえ(女優)

前から彼女の感情的な素直な言葉や、空気感、
そしてそれをファインダー越しに写す写真がスゴく感情を揺さぶらせる。
そして今回、命をテーマにしたあの写真集は涙が出ました。
本当に命の感動を教えてくれてありがとう。

──Alexander Lee Chang (AlexanderLeeChang デザイナー)
    www.alexanderleechang.com

正子さんはその想いの強さで
見つめた世界の彩りを変えてしまう
どこまでも美しい「新世界」は
ただそこに在ったのではなく
願い、創り出された希望の世界
祈り、生まれた愛の世界

──奥貫薫(女優)

アクセサリー箱のような小さな部屋の中で、
僕は彼女を待っていて、
遅れてやってきた彼女は太陽のように笑っていた。
僕は緊張であまり話す事が出来なかったけど、
3回目くらいにはよく話す僕がいて、
うんうんと聞いてくれる正子ちゃんがいて、
1年後くらいには、真っ白なアネモネの花の様なウエディングドレスを手渡していた。

それが僕らの出会いです。

それから何年後か忘れちゃったけど、『新世界』に出会いました。
正子ちゃんの星の数ほどの瞬きの中から選ばれた30点くらいの写真たち。

『ぼくの星はたくさんの星の中に混じっている。
だから、きみはどの星のことも好きになる、ぜんぶの星がきみの友達になる。』

と言ってた星の王子さまの言葉みたく、
選ばれた写真は、正子ちゃんの沢山の日常の中に混じっている星の王子さまを見つけた瞬間なんだろうなと思い、
そう思いながら眺めていると、きっと僕らの日常にも星の王子さまはいて、
どの日常も好きになれるんじゃないかと思わせてくれる写真だと、僕は思います。

──岡本順 (JUN OKAMOTO デザイナー)
    www.junokamoto.com

瑞々しい感性をもとに、世界を美しく真摯に切り取る写真家、中川正子。写真家として幅広く活躍する傍らで、出産・大地震という未曾有の経験をした中川は、今年1月、その後大きく変容した世界を写し取った写真集「新世界」を発表。東京・港区にて開催された同写真展には2000人あまりの観覧者が訪れ、大きな反響を呼び起こしました。そして今回、大盛況のうちに幕を閉じた「新世界」の巡回展が岡山・balanceにて再び開催となります。会期中には、中川が制作中にインスパイアされたという“tokyo blue weeps”、“サボテン高水春菜”によるスペシャルライブが行われるほか、発売後に即完売となった写真集「新世界」も販売されます。

◎オープニングレセプション
5月1日(火) 19:00〜 start

◎スペシャルライブ 01
5月1日(火) 20:00〜 出演=tokyo blue weeps

tokyo blue weeps

2008年1st EP「東京」、2011年1st album「incarnations」を発表。同アルバム収録曲「reunion」が iTunes今週のシングルに選出をされ、新人では異例のダウンロード数を獲得。同年、KAIKOO POPWAVE FESTIVALに出演を果たす。4月4日発売の新作「what happened in yesterday」は、東日本大震災を経て、多くがその在り方を根底から見つめ直すに至った「2011年」を主題に、生と死を深く見つめ、混迷の時代から一筋の光・未来を見出そうとする彼らの懸命な姿勢が、色濃く刻まれている。エンジニアは、toeの美濃隆章氏。深遠なピアノ旋律、繊細な息づかいのもと魂を吹き込むように紡がれる音楽世界は、癒しをもたらす音楽とも評される。小木戸利光は、若松孝二監督映画「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」に出演するなど、他の表現活動も精力的に行っている。 http://www.tokyoblueweeps.org/

◎スペシャルライブ 02
5月12日(土) 20:00〜 出演=サボテン高水春菜

サボテン高水春菜

日常にあるささやかな心の揺れを紡ぐシンガーソングライター。不器用な存在に光をあてる日本語の詞、POPS、Folk、JAZZ、童謡などをルーツにした新しくも懐かしい楽曲、中性的な風貌と独特の歌声が特徴。96年より活動を開始し、アートイベントやカフェイベントに出演。絵本のような歌世界に定評がある。自身がイラストも手がけるエッセイCD「拝啓スプートニク」が絶賛発売中。ちいさなちいさなきもちを、そっと大切につみかさねて、わたしはきょうも歌っています。 http://takamizuharuna.com/

絶賛発売中

中川正子写真集 『新世界』
写真:中川正子

定価:3,780円(税込)
全88p/280mm×225mm/布貼り上製本
ISBN-978-4-904635-08-7 C0072
発行:PLANCTON
www.plancton.co.jp

舞い踊るうつくしい桜の季節、私のぱんぱんに膨らんだおなかから新しい生命が生まれてきた。その小さい人は、これまでに見たどんな人間よりも鋭く強い目で、私達をずっと、まっすぐに、見ていた。射抜くような透明なその目は、何かの始まりを、知らせているように思った。ひとめ見ると同じように見える、でも、全く別の、何かを。

そして一年、彼は二本の脚で歩き始め、次の桜を待つころ、大きな地震がすべてを揺るがした。かなしくておそろしくて、こどもを抱えて私は大きな声で泣いた。世界がかなしみの灰色に塗りつぶされたように思った。

それでも毎日、私たちの細胞は以前よりも大きな音を立ててぷちぷちぷちぷちと分裂し続けた。ふくらみ、広がり、色を鮮やかにして、高らかに歌を歌うように踊り、やがて溶けて、ひとつになっていった。それはひとつの大きなまばゆく白い光のように思えた。

私は夢中で、新しい、圧倒的な、その光の存在を確かめる手がかりを、ひとつひとつ、写真におさめて行った。見逃さないように。壊さないように。既に知っていたと思うすべてのものごとに、新しく、名前をつけ直すように。生まれたままのほんとうの色に、戻していくように。

生きたい。とにかく生きたい。死ぬまで生きたい。新しい名前を持ったあらゆるものと、愛するものたちと一緒に生きたい。太陽に喜び、風に喜び、土に喜び、水に喜び、月に祈って、毎日生きたい。生きるっていうのは、つまり、そういう営みをえんえんと生き生きと力の限り続けていくことなのではないかと思う。

この、新しい、世界で。
中川正子

中川正子

津田塾大学在学中にカリフォルニアに留学。写真と出会う。帰国後山路和徳氏に師事。自然な表情をとらえたポートレート、光る日々のスライス、美しいランドスケープを撮り続ける。日本、世界を多く旅し、撮影で訪れた国は18カ国70都市以上。写真展を定期的に行い、雑誌、広告、CDジャケットなど多ジャンルで活躍中。2010年4月に男児を出産。写真集に「旅の響き」(宮沢和史氏と共著/河出書房新社刊)、「ふたりぶんのしあわせ」(カサイミク氏と共著/ピエブックス刊)、「通学路」(PLANCTON刊)などがある。 http://nakamasa.exblog.jp/